2018年02月10日

江戸っ子の息吹あふれる“勘違いコンボ” 小遊三の『百川』


今日は、国立演芸場 2月上席 へ行ってきました。
主任は、三遊亭小遊三師匠。

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 <本日の番組>

開口一番:(前座) 桂こう治 『子ほめ』
落語:(交互) 柳家蝠よし 『転失気』
奇術:山上兄弟
落語:三遊亭遊馬 『たらちね』
漫才:ナイツ
落語:柳家蝠丸 『お七の十』

 〜仲入り〜

講談:日向ひまわり 『堀部安兵衛』
落語:(代演) 三遊亭遊雀 『悋気の独楽』
曲芸:鏡味味千代
落語:(主任) 三遊亭小遊三 『百川』



★こう治 『子ほめ』
開口一番は小文治門下のこう治さん。
一聴して前座とは思えない安定した語り口である。
余裕すら感じさせられる落ち着いた高座だった。

★蝠よし 『転失気』
大入り袋が出たことに触れてから『転失気』へ。
「自分の“腹”から出た疑問として聞いてきなさい」。
描写は丁寧で、テンポは緩やか。サゲは「屁理屈」。

★山上兄弟
傘→コイン→トーク→トランプ→イリュージョン。
「同期のメル友(=円楽師匠)からメールが来た」
「芸協入りは同時期でも同期って呼ぶんじゃない」。
話術が上達し、マジックも華やかさが増している。

★遊馬 『たらちね』
「ウグイス」「神無月」の小噺から『たらちね』。
“娘”は漢学者の娘だから言葉が丁寧という設定で、
「火事があっても名前が長くて……」とサゲる。

★ナイツ
「半蔵門はいいところ。半蔵門のお客様は……」
「そういうのは地方営業でやってください」。
塙先生のお兄様、土屋先生のお母様のネタを経て、
芸能人の名字が登場の「同窓会」でまとめ上げる。

★蝠丸 『お七の十』
「妻への贈り物」の小噺で客席の感度を確かめ、
オチの解釈が2つある噺と称して『お七の十』へ。
女性の容姿を笑うクスグリが目立って感じられた。

★ひまわり 『堀部安兵衛』
最近の生徒は「忠臣蔵」の読みも知らないと明かし、
物語が分かりやすく整理された『堀部安兵衛』。
堀部が討ち入りに参加した経緯まで語って下がる。

★遊雀 『悋気の独楽』
「キャリアの違いは着物の違い。噺は同じだけど」。
国立演芸場に因んだ前座時代の逸話を話してから
(間違えて女性からチケットを譲られそうになる)、
「お泊まりです」のフレーズが愉しい『悋気の独楽』。

★味千代
五階茶碗→毬と撥→傘廻し(毬&升)。
途中で毬を落とすというアクシデントが発生するも、
「長い人生、こういうこともある」と言って笑いをとる。

★小遊三 『百川』
「ここまで聴いてお分かりでしょうが、以下同文です」。
江戸三大祭と「四神剣(旗)」について解説してから、
さらっとブラックに「でも富岡八幡宮はダメでしょう。
あそこで賽銭を投げて“家内安全”と拝んでも……」。
さらに『百川』の噺の由来をめぐる“ガク説”を披露し、
誤解が誤解を生む“勘違いコンボ”系落語『百川』へ。
“主人”は“百兵衛”の田舎と年齢と名前を尋ねるが、
われわれ観客が耳で知ることになるのは名前のみ。
“百兵衛”自体が実は不可思議なキャラクターなのだ。
ところどころで言葉に詰まるのが気になったものの、
その高座は江戸っ子の息吹を感じさせる高座だった。



──というわけで本日は、先日来よりは少しだけ冬の寒さが和らいだ中、
小遊三師匠が主任を勤める2月上席の千秋楽に伺うことができました。
会場は大入り袋が出るほどの超満員で、熱気に包まれていたほどです。
そして、小遊三師匠の高座はやはり江戸っ子の息遣いにあふれており、
フィクションとは割り切れられない庶民の“生活感”が滲み出ていました。

ところで、本日の公演では“初めての寄席”のお客さんも多かったようで、
マジックや太神楽曲芸の場面ではどよめきや歓声が起こっていました。
私は落語ファンになってしばらく経っているため忘れておりましたが、
日本に住んでいても寄席に行く機会に巡り合うとは限らないのですよね。
寄席を愉しむ人たちが増えることは私にとっても誇らしく、嬉しいことです。


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posted at 23:59 | Comment(0) | 落語・笑い | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする |
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