2017年10月15日

君はすでにスターだ! プロップコメディ界の雄、“テープ・フェイス”


今更ですが、アメリカ・NBCの公開オーディション番組
『アメリカズ・ゴット・タレント』のシーズン11(2016年)に、
「The Boy With Tape On His Face」が出演していたのを知りました。

▲ 『アメリカズ・ゴット・タレント』 シーズン11 (2016年5月〜9月放送) より



『アメリカズ・ゴット・タレント』とは
 老若男女問わず歌手だけでなく、ダンサー、マジシャン、コメディアンなど様々なジャンルのパフォーマーが賞金100万ドルをかけてオーディションを行なうスター発掘番組である。 (中略)
 視聴者の投票により、アマチュアや世間によく知られていないパフォーマーが世に出る機会となる。
── Wikipedia



そして、「The Boy With Tape On His Face」とは
ニュージーランド出身、ロンドン在住のプロップコメディアンである
(言葉ではなく小道具を用いる笑いのことを「プロップコメディ」と呼ぶ)。

彼の本来のお名前(あるいは本名)は「サム・ウィルズ」と称うのですが、
口元に黒いガムテープ(?)を貼っている無言のキャラクター
「The Boy With Tape On His Face」こそが彼の代名詞です
(2016年頃からは簡略化して「Tape Face」と名乗っているようだが)。



数年以上前にもどこかで言及したはずだと思うのですが、
私はかつて「The Boy With Tape On His Face」にハマったことがあり、
一時期は YouTube で彼のステージ映像ばかりを視聴していました。

言葉を必要としない彼のパフォーマンスは誰にとっても分かりやすく、
少なくとも当時の私にとっては“とっつきやすい”お笑いだったのですね。

私の印象では、彼は2011年〜2012年に一つの“人気のピーク”を迎え、
世界中のコメディファンから注目を浴びる存在になりました。
外国でのツアー公演も組まれ、名実ともに国際的スターとなったのです。



──それでは「百聞は一見に如かず」ということで、
「The Boy With Tape On His Face」のステージ映像をご覧ください。
(すなわち、私がかつて繰り返し視聴していた動画の数々をご覧ください。)

▲ 『Comedy Rocks With Jason Manford』 (2011年1月14日放送) より

▲ 『Comedy At The Fringe』 (2011年8月放送) より

▲ 『The Comedy Proms』 (2011年8月27日放送) より



2011年12月には、毎年開催されているイギリス王室臨席公演
『ロイヤル・バラエティ・パフォーマンス』にもゲスト出演し、
この年の公演の主賓であったアン王女とも握手を交わしています。

▲ 『The Royal Variety Performance 2011』 (2011年12月5日) より




それなのに、それなのに……

とっくに世界中のプロップコメディアンやマイマーが憧れる存在──
──になっていたはずの「The Boy With Tape On His Face」が、
“無名人”のためのスター発掘番組『アメリカズ・ゴット・タレント』に、
芸名を「Tape Face(テープ・フェイス)」と改めた上で出場していたなんて!

個人的には、素人オーディション番組に早野凡平先生が出てきて、
審査員から「なんだこのおっさんは。大丈夫か?」的な視線を送られつつ、
最終的には「あらまあ、意外に面白いじゃないの」と論評される──
──といったテイストの、モヤモヤッとくる違和感を抱かざるを得ません。

しかも、番組のステージ上で彼が披露していたのは、
彼が昔から演じてきた“鉄板ネタ”とでも称うべきパフォーマンスばかり。
本来なら「審査されるべきもの」ではなく「ギャラを支払われるべきもの」。

「The Boy With Tape On His Face」の存在を知っている私にとって、
彼の『アメリカズ・ゴット・タレント』出場は切なさを感じる出来事でした。
(だって、素人落語大会に若手真打ちが出ていたら切ないじゃないですか。)



彼の『アメリカズ・ゴット・タレント』出場に際して何より残念だったのは、
なぜか目の周りに濃厚なアイラインが引かれてしまったこと。
アイラインのせいで、かつては目元から放たれていた愛嬌が失われ、
「Tape Face」は人工的かつ警戒的なクラウンになってしまっています。

tape-face-before_after.jpg

彼がアイラインを引くことにしたのは、おそらくはプロデューサーから
「口にテープを貼っているだけじゃインパクトが足りないんだよな〜」などと
言われたからなのでしょうが、それにしてもこれは本当に残念、悲しい。

もしも「Tape Face」が何かの間違いでこのブログを読んでいたら、
今からでも遅くないからアイラインを引くのはやめろと申し上げたいです。
(そもそも、彼が日本語を読める可能性は限りなくゼロに近いだろうが。)



ちなみに、番組の結果を申し上げると、「Tape Face」は
ファイナリストには残ったものの、惜しくも(?)優勝は逃しました。

『アメリカズ・ゴット・タレント』の野暮で下品で馬鹿くさい審査員たちは、
自分たちの何十倍も“タレント”がある「Tape Face」を前にして
「こいつを優勝させたら洒落にならん……」とでも判断したのでしょうか。

──もっとも、本物の馬鹿であるメルB(メラニー・ブラウン)は
それ以前の問題として、ステージ上で目に余る醜態を演じていましたが。
(放送直後には彼女の態度をツッコむ記事がオンライン上にあふれた。)



個人的には一連の出来事に切なさを覚えざるを得ませんでしたが、
「世界的に有名な番組に露出したことで彼の名声が爆発的に拡散した」
と考えれば、『アメリカズ・ゴット・タレント』という低俗な番組への
「Tape Face」の出場も、実に効果的なチャレンジだったと言えるでしょう。

実際、『アメリカズ・ゴット・タレント』出場後の「Tape Face」は、
ヨーロッパのみならずアメリカでも公演の予定がびっしり埋まっています。

2016年の全英ツアーに続き、2017年には全米ツアーを成功させ、
さらに10月〜11月には一流ホテル「フラミンゴ・ラスベガス」で
計20日間に渡って単独ライブを開くという、従来以上の驚異の活躍ぶり。

何事も「Always Look on the Bright Side of Life
──あるいは「try positive thinking」が肝心なのですね、はい。
(イギリスのコメディアンの名曲を引用してきれいにまとめてみましたァ!)
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