2016年12月31日

キャラクターが生きていた! 『真田丸』の登場人物ベスト9


 私は集中力のない人間なので、NHKの「大河ドラマ」を年間を通して視聴したことはこれまでほとんどありませんでした。そんな私でもハマってしまった大河ドラマ──それが、2016年放送の『真田丸』(作:三谷幸喜)です。

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(題字:挾土秀平)


 1月10日放送の第1回「船出」から12月30日放送の総集編に至るまで、私は『真田丸』を「完走」しました。

 何らかのトラブル発生の可能性を考慮し、@BSプレミアムでの放送、ANHK総合での放送、BNHK総合での再放送の3パターンを欠かさず録画。ついでに『5分でわかる真田丸』も欠かさず録画。そして、本編と『5分でわかる──』をブルーレイディスクに焼いていくという作業を繰り返しました。もちろん、公式ストーリーブックは3冊(前編・後編・完結編)すべて揃えています。

 きょうは大晦日。一年の締めくくりとして、『真田丸』で印象に残ったキャラクターをご紹介しましょう。あくまでも私選につき、「あのキャラクターが入っていないのはどういうことなんだ!」といったクレームはご勘弁ください。


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薫 (高畑淳子)
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 私が『真田丸』を観ようと決めたのは、これが高畑淳子さんが初めて出演する三谷作品だったからと言っても過言ではありません。第39回「歳月」で単独トメを飾った時は狂喜乱舞しました(本当か?)。出自について見栄を張るというコミカルな設定が、まさか最後で感動的に活かされるとは思わなかった。


本多正信 (近藤正臣)
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 『真田丸』は本多正信のドラマだったと振り返られないこともない。すべてが正信の掌の上で展開していったような印象があります。もっとも、第14回「大坂」では全力疾走とジャンプをしなければならない状況を迎えていましたが……。最終回では見事にドラマを締めくくり、本当にオイシイ役柄でしたね!


滝川一益 (段田安則)
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 最近の三谷さんは段田さんがお気に入りのようです。『真田丸』での滝川一益は中間管理職的な立場に置かれながらも、主君たる織田信長(吉田綱太郎)の使命を一個の人間として理解している。それだけに、信長が討たれたことを知らずに信長の理想を語る場面では哀愁が漂っていました。


北条氏直 (細田善彦)
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 完全に父親に引きずられている息子。その姿は一見して滑稽ですが、実際にはうら悲しいものがあります。初めて「自分の言葉」を吐き出したのが第24回「滅亡」(内容はタイトルから察してください)だったというのも切ない。心理的に追い込まれていく青年のようすを、細田善彦さんは過不足なく表現していました。


寧 (鈴木京香)
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 豊臣秀吉(小日向文世)の正室として、同志として、そして豊臣ファミリーのゴッドマザーとして、類稀なる良妻賢母ぶりを発揮する寧。懐の深さが目立ちますが、やはりそんな彼女にも感情がある。第28回「受難」における「あの子はもう──」という絶叫は、鈴木京香さんにしかできない「凄演」だったと思います。


豊臣秀次 (新納慎也)
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 心理的に追い込まれていった青年ということなら、豊臣秀次を忘れてはなりません。秀次は誠実な人柄を力強さに変換することができず、とうとう悲惨な末路を辿ることになります。さっさときり(長澤まさみ)と結ばれてくれと思いながらドラマを観ていたけど、秀次のきりへの愛情は私の想定以上に深いものでした。


旭 (清水ミチコ)
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 出演したのは一回だけ。これといった台詞もない。でもインパクトは最大級。それこそが、清水ミチコさんが演じた旭です。巷では仏頂面が話題になりましたが、個人的には母・なか(山田昌)との再会シーンにグッときました。あの瞬間、彼女は一人の「娘」になったのです。女優・清水ミチコの名演技に拍手!


豊臣秀頼 (中川大志)
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 『真田丸』の秀頼はテレビドラマ史上、最も魅力的な秀頼だったのではないでしょうか。優柔不断でありながら芯があり、威厳がありながらも繊細さを隠しきれない。そんな秀頼だったからこそ、浪人たちは逆に結束したという面があったのかもしれません。それにしても中川大志さんは大した役者です。


織田有楽斎 (井上順)
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 もうね……井上順さんをキャスティングするのは反則です。何が何でも観ざるを得ないじゃないですか! そして順さんのタレントとしてのキャラクター自体が、胡散くささ(陽)と凄み(陰)を兼ね備えた有楽斎役にピッタリとハマっています。第48回「引鉄」での命乞いコントはもはや伝統芸の域に達していました。


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 以前、コメディ映画の巨匠であるメル・ブルックス監督がおっしゃっていました。「脚本を書くとき、私はプロットよりもキャラクターに重きを置く。そのキャラクターが何を求め、何を欲し、何をしようとしているのか、まるで子どものように私はキャラクターに問いかける」。

 まさに『真田丸』は登場人物がリアルタイム的に揺れ動き、躍動する物語だったと感じます。展開や結末が明らかでもこのドラマが抜群に面白かったのは、三谷さんによる脚本が「人物」を描いていたからにほかなりません。そしてその秀逸な脚本を実力派の役者陣が具現化したことで、『真田丸』という平成屈指の名作ドラマは成就したのでした。

 『真田丸』という物語を毎週追いかけることができた私は幸せ者でした。総集編は総集編で「よくまとまっている」とは思いますが、やはり一話ずつ追いかけていく醍醐味と比べてしまうと……。もう一度申し上げましょう。『真田丸』という物語を追いかけることができた私は幸せ者でした。
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