2016年04月16日

大胆な“編集”と緩急ある話芸… 歌丸の『塩原多助 -出世噺-』


今日は、国立演芸場 4月中席 へ行ってきました。
主任は、桂歌丸師匠。

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 <本日の番組>

開口一番:(前座) 桂竹わ 『初天神』
落語:(代演) 瀧川鯉丸 『寄合酒』
コント:コント山口君と竹田君
落語:三遊亭遊雀 『電話の遊び』
漫才:Wモアモア
落語:雷門助六 『代り目』〜あやつり踊り

 〜仲入り〜

落語:(代演) 桂小南治 『ドクトル』
俗曲:桧山うめ吉
落語:(主任) 桂歌丸 『塩原多助 -出世噺-』



★竹わ 『初天神』
開口一番は竹丸門下の竹わさん。
折り目正しく模範的なさっぱりとした高座。

★鯉丸 『寄合酒』
交互出演組の代演。
スーパーマーケットでの営業ネタなどを経て、
噺そのものの可笑しさを勢いよく表現する。

★コント山口君と竹田君
旅館の主(あるじ)と眠れない客のコント。
笑わせどころでしっかりと笑わせ、
観客(というか私?)に満足感をもたらした。

★遊雀 『電話の遊び』
マクラで歌丸師匠をイジり、
噺の中では鯉丸さんとうめ吉さんをイジる。
「一昔前の新作」をここまで面白くできるのは、
遊雀師匠の感覚が研ぎ澄まされているからだろう。

★Wモアモア
おなじみの団体客ヨイショに始まり、
おなじみの家族ネタや「言い間違い」を。
「熊本出身」の箇所で客席がややどよめいた。

★助六 『代り目』〜あやつり踊り
「話芸」とは言いつつも所作を魅せるところが
助六師匠(伝統的な雷門一門)の特徴。
当然のように、あやつり踊り『かっぽれ』で
新旧寄席ファンが入り混じる客席を湧かせる。

★小南治 『ドクトル』
竹丸師匠の代演。
「私は8月中席のほうが得意」と話しつつ、
イレギュラーながらも大入り袋を客席に見せる。
そして、遊雀師匠に負けじと「一昔前の新作」。
噺の可笑しさを超えてキャラクターが爆発した。

★うめ吉
「本日、初めてお目にかかる気がしません」。
『品川甚句』や『縁でこそあれ』、
『お清しゃもじ』などを経て、春の踊り『夜桜』。

★歌丸 『塩原多助 -出世噺-』
うめ吉さんの「年齢」を多少ネタにしてから、
前回(2015年4月)の続きとなる『出世噺』へ。
圓朝作品はサスペンスな展開が定番だが、
この『出世噺』ではむしろ温かい人情が感じられる。
“多助”が出世していく物語としてではなく、
出世(家を再興)したいと苦しむ物語として――。
「若い内は死を考えがち」という地語りは残し、
江戸に来てからのエピソードは大胆に省略するなど、
今回も「編集者」として才気煥発な高座だった。



――というわけで、久々に拝聴した歌丸師匠の高座で
名作『塩原多助一代記』の後半部分を楽しませていただきました。
恨んだり→殺したり→血が出たりの連続となりがちな
三遊亭圓朝作品にしては珍しく、「因果」が絡んでいるとはいえ、
誰も殺されない『出世噺』はだいぶ落ち着いた物語です。

あらすじだけでは「なんでもない話」と処理されかねませんが、
そこは稀代のストーリーテラー・歌丸師匠のこと。
現代に通用する大胆な「編集」と、緩急のある歯切れよい話芸で、
4月中頃、土曜日の客席に豊かな芸術をもたらしていました。
欲を言うならば、歌丸師匠の「圓朝噺」を今後も聴いていたい……。


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