2014年09月30日

<集団的自衛権> 本当は“容認”されていない集団的自衛権


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 朝日新聞から産経新聞まで、そして安倍晋三首相ご自身まで、「7月1日の閣議決定で、日本は集団的自衛権を行使できる国になったんだ!」と、さも当たり前の事実であるかのように主張しています。しかし、本当にあの閣議決定で日本は集団的自衛権(=他国防衛権)を行使できる国に変貌したのでしょうか。

 お母さんを「我が家の憲法」とみなすとき、子ども(内閣)はお母さんの言うことを聞かなければなりません。それが立憲主義です。東アジア在住の「日本家」では、お母さんが子どもに「お団子なら食べてもいいけど、ソフトクリームは食べちゃダメですよ」と以前から言いつけていました。しかし、ある時、その子どもはどうしてもソフトクリームを食べたくなりました。

 さて、あなたがその子どもだったらどうしますか?
 (A) お母さんの言い付けを無視してソフトクリームを食べる
 (B) お母さんの言い付けを守ってソフトクリームを食べない

 ――7月1日、その子どもは、「『ソフトクリーム』という名前のお団子」を食べることで、「『ソフトクリーム』を食べたい」と「お母さんの言い付けを守りたい」という2つの願いを同時に実現させることに成功しました。本物のソフトクリームを食べたかったわけではなく、「ぼくは『ソフトクリーム』を食べた」という歴史を作りたかっただけだったので、その子はそんな“賢い”ことができたのです。



 7月1日の閣議決定は、これとまったく同様に、あくまでも「集団的自衛権」という名前の「個別的自衛権の一部」の行使を認めたものであって、本物の集団的自衛権(=他国防衛権)の行使を認めたものではありません。これまでも日本では個別的自衛権の行使は認められていましたから、あの閣議決定以前と以後で、日本の国のカタチは何ら変化していません。

 つまり、7月1日の閣議決定は、集団的自衛権反対派にとっては歓迎すべき内容に、賛成派にとっては悲嘆すべき内容になっています。最近、「吉田調書」などをめぐる朝日新聞の誤報が社会問題化しましたが、私には、7月1日の閣議決定を「集団的自衛権の行使を認めた閣議決定」と呼称し続けていることこそ、報道各社の悪質な誤報に思えてなりません。



 閣議決定後、このブログではこれまで3回に渡って、「あの閣議決定は集団的自衛権の行使を認めたものではない」ということを解説してきました。拙い文章ですが、お読みいただければ幸いです。

 Q. あの閣議決定は集団的自衛権を認めたものではないの?
 ⇒『<集団的自衛権> 閣議決定で「集団的自衛権」は容認されたのか
 (「集団的自衛権」をめぐる国際法上の3つの学説を確認することで、今回の閣議決定が、本物の集団的自衛権=他国防衛権を容認したものではないことを解き明かしています。)

 Q. あの閣議決定は違憲ではないの?
 ⇒『
<集団的自衛権> むしろ喜べ反対派!? 閣議決定は違憲ではない
 (国家による武力行使の「目的」と「効果」を考察することで、今回の閣議決定で認められた範囲は、従来通り自国防衛に限定されていることを確認しています。)

 Q. あの閣議決定は日本の国のカタチを変えたものではないの?
 ⇒『
<集団的自衛権> これまでも「集団的自衛権」は認められていた!?
 (新旧政府見解の空白部分を考察することで、今回の閣議決定で「集団的自衛権」と呼ばれているものは、従来認められてきた個別的自衛権の範囲内であることを説明しています。)



 ――実のところ上記の3つのエントリは、それぞれがそれぞれの内容を補完し合っているだけで、すべて同じようなことを言っています。そのため、何の先入観もなく上から順に読めば、「もう言いたいことは分かったから……」「いい加減クドいんだよ!」と感じるのではないでしょうか(そしてあなたは睡魔に襲われる)。

 上記エントリは、どちらかというと集団的自衛権の行使容認に反対する人々に向けて、「あの閣議決定の内容を理解してほしい」という思いを込めて書きました。行使容認に反対するなら、「政府はあの閣議決定を撤回しろ!」ではなく「政府はあの閣議決定を守れ!」と言わなければおかしいのです(個別的自衛権=自国防衛権の行使にすら反対する人は除く)。

 7月1日の閣議決定を受け、国会では来春以降に具体的な法整備が行われます。あの閣議決定が集団的自衛権を認めたものだと国民に勘違いさせ続けたい政治家たちは、かなり前のめりな発言をしてくるでしょう。その時、国民が内容を理解できてさえいれば、あの閣議決定は、集団的自衛権を認めさせないための頼もしい「武器」として機能するはずです。
posted at 23:59 | Comment(2) | TB(1) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする |
この記事へのコメント
集団的自衛権容認の内閣決定は法的には意味がないですが,その上に何かを積み上げられると困ります。女たちも怒っています!
https://www.facebook.com/pages/%E5%A5%B3%E3%81%AE%E5%B9%B3%E5%92%8C117%E5%9B%BD%E4%BC%9A%E3%83%92%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3/608236232615999?sk=timeline
Posted by 杉浦ひとみ at 2014年11月25日 09:16
杉浦ひとみさん、コメントありがとうございます。

私も同様の危惧を抱いています。
政権自身が7月1日の閣議決定を遵守するよう、私たちは国会での動きを注視していく必要があると思います。
Posted by みつよし at 2014年12月03日 23:53
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