2013年11月30日

神奈川・大和で“地噺”対決!? 鶴光『紀州』VS.夢之助『蒟蒻問答』


今日は、大和市生涯学習センターホールで開かれた
『笑福亭鶴光・三笑亭夢之助 二人会』へ行ってきました。

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 <本日の番組>

開口一番:(前座) 桂竹のこ 『真田小僧』
落語:三笑亭夢之助 『蒟蒻問答』

 〜お仲入り〜

漫才:ショウショウ
落語:笑福亭鶴光 『紀州』



★竹のこ 『真田小僧』
「女子大での口演は落ち着かなかったが、
 今日は……」など、マクラから笑わせてくれる。
ネタのほうも所々でスパイスが効いていて面白いし、
クドくなりすぎないよう心がけているような印象も。
竹のこさんの高座は聴く度に面白くなっている。

★夢之助 『蒟蒻問答』
「着物」「イッサク」「猫と寿司」「超ムカつく」といった
おなじみの漫談で客席を沸かせるが、
「“真打ち”の語源」を私が聴いたのは今日が初めて。
さすがドリーム師匠、ネタの引き出しが豊富ですなあ。
もはや完全に“地噺”と化した夢之助版『蒟蒻問答』では、
緩急自在に会場の空気をコントロールしていた。

★ショウショウ
仲入り後は、吉本興業の漫才師:ショウショウ先生。
「こんな営業を経験した」ネタに始まり、
昇平先生の政治家モノマネ、星野モノマネなどを展開。
「この人たち誰?」という客席の不信感を、
ハケる際には満場の拍手に変えてしまうのだからスゴい。
本家本流、正統派のしゃべくり漫才を聴いた感覚。

★鶴光 『紀州』
「落語の歴史」「とんち・俳句・川柳の歴史」などを
聴く者を飽きさせぬ話芸でレクチャーする鶴光師匠。
しかし、時折「エロ顔」が現れるのでホッとする(?)。
『紀州』は演者の力量が試される“地噺”だが、
「仁鶴師匠」「米朝師匠」「松鶴師匠」ネタが出色の出来。
中でも、しつこく「カネ」にこだわる姿勢が可笑しかった。



――たしかに私は神奈川系都民ではありますが、
「神奈川県大和市」「大和駅」を訪れたのは本日が初めて。
感じたことのない“街の気配”に触れ、
ちょっとした小旅行気分でした(それはさすがに大袈裟か)。

鶴光師匠の『紀州』も夢之助師匠の『蒟蒻問答』も
両師匠おなじみのネタ(しかもどちらも“地噺”)でしたが、
その場その場の空気にあわせて“笑い”をぶつける姿勢には
毎度のことながら感激せざるを得ません。

……とはいえ、本日最大の感激は
「生まれて初めて大和を訪れたこと」だったかなあ……。
いや、「鶴光・夢之助」という組み合わせが最大の感激かも。
あとは、前座:竹のこさんの成長ぶりが印象的でした。
(……結局、今日の私は色んなことに感激したということね。)
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2013年11月27日

古典も新作もマクラも… “幸せな暴走感”広がった『喬太郎独演会』


今日は、神奈川県民ホール 小ホール で開かれた
『県民ホール寄席 300回記念企画 柳家喬太郎独演会』へ行ってきました。

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 <本日の番組>

落語:柳家喬太郎 『転失気』
落語:柳家小太郎 『夢八』
落語:柳家喬太郎 『心眼』

 〜お仲入り〜

落語:三遊亭粋歌 『影の人事課』
落語:柳家喬太郎 『ハワイの雪』



★喬太郎 『転失気』
配布された番組表では一席目は小太郎さんの予定だったが、
喬太郎師匠「なんとなく最初に上がってみようかな、と」。
ただでさえ今夜のマクラは暴走気味なのに、
遅れて入場の客に対して初代三平師匠並みの過剰サービス。
「そうだ、今夜は上演中の携帯OKにしましょう!」。
一席目は、エキセントリックな“珍念”が活躍する『転失気』。
「前座噺」の枠を超えた“キ印改訂”に腹を抱えるしかない。

★小太郎 『夢八』
喬太郎師匠にめくり&座布団返しをされ、高座上で恐縮する。
「落語家を続けているといいことがあるものですね」。
ホラー要素の強い『夢八』では、客を噺の世界に惹き込ませた。
「ほのぼとした語り口」と「ブラックな空気」のギャップが新鮮。

★喬太郎 『心眼』
「横浜噺」ともいえる『心眼』。個人的にも好きな噺だ。
喬太郎版では途中に「夢っぽい場面」が挿入されており、
この噺のポイントは「夢オチであること」なのかと思わせられる。
夢の中の“梅喜”の「強さ」と、現実の“梅喜”の「弱さ」――。
ここでの「強さ」は「傲慢さ」、「弱さ」は「優しさ」に直結。
そのため、サゲの一言は不気味なる意味深さを響かせていた。

★粋歌 『影の人事課』
会社員時代の「残業」をモチーフに作ったという新作落語。
こ、これは……、面白いじゃないですか!
噺が進むにつれ爆笑拡大。送り手の大きさといったらなかった。
「残業」を軸に展開するストーリー自体の可笑しさと併せて、
落語マニアの心をくすぐる豊かな工夫も盛り込まれている。

★喬太郎 『ハワイの雪』
「変なのがきちんと出てきた」と粋歌さんを高く評価し、
「“セクハラ課長”のモデルは俺か!?」と訝る喬太郎師匠。
「ここからは喋りたいことを喋る」と『あまちゃん』ネタを話すが、
元ネタを知らない客をも笑わせる話芸には惚れ惚れする。
東横線ネタ、崎陽軒のシウマイ弁当ネタにも爆笑させられた。
さて本日最後は、笑いと感動の波が押し寄せる『ハワイの雪』。
個性的な登場人物たちが、温かくて優しい世界観を創り上げる。
「空はつながっている」という台詞、胸にジーンとくるなあ……。



――というわけで、主役が3席勤めた『柳家喬太郎独演会』。
「県民ホール寄席」の300回記念企画として催された公演で、
古典も新作も、そしてマクラも、大いに楽しませていただきました。

『宮戸川(通し)』を聴いた時にも感じたことだけど、
喬太郎師匠は「夢オチ」の噺を積極的に評価していて素晴らしい。
今夜の二席目、熱演であった『心眼』に関しても
まるで「夢オチであること」から逆算して噺を再構築しているようで、
「夢オチ」の新たな展開可能性を感じさせられましたね。

もはや日本一面白いヴァージョンだと断言したくなる『転失気』、
喬太郎師匠らしい「人生」への眼差しが輝く名作『ハワイの雪』、
そしてさらには粋歌さんの独特な新作落語『影の人事課』も含め、
今夜の独演会では総合的に「幸せな暴走感」が広がっていました。


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2013年11月22日

モンティ・パイソン、再び空を飛ぶ



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……というわけで、来年(2014年)7月1日、
伝説的コメディグループ「モンティ・パイソン」の“生き残り”5人が
舞台公演で一夜限りの再結成を果たすこととなりました。

今更このブログでモンティ・パイソンの説明をするつもりはありませんが、
多くのコメディ通が語る通り、パイソンズは「コメディ界のビートルズ」。
ミュージカル『モンティ・パイソンのスパマロット』で
“アーサー王”を演じた英モノマネ芸人:ジョン・カルショウは、
「彼らは後進に最も影響を与えたコメディグループだ」と語っています。

映画『モンティ・パイソン 人生狂騒曲』(1983年)以来となる
約30年ぶりの「パイソンズ再結成」は、
コメディ界においてはまさしく「ビートルズ再結成」レベルの重大事です。
世界中のパイソンフリークが今から来夏を楽しみにしていることでしょう。



ところで、なぜこれまで「再結成」は実現しなかったのか。

TVシリーズ『空飛ぶモンティ・パイソン』(1969年〜1974年)時代に
ジョン・クリーズとテリー・ジョーンズが対立していたのは有名な話ですが、
エリック・アイドル企画のミュージカル
『モンティ・パイソンのスパマロット』が上演中だった2011年頃からは、
ジョン・クリーズとエリック・アイドルの対立が浮き彫りとなりました。

対立の理由は、「エリックがあまりにも(金銭的に)ガメついため」。
(詳細はこちらのブログでも伝えられています。)
ジョンと対立したことでエリックは他のメンバーとも疎遠となり、
ここ数年は「エリックVS他メンバー」という構図が築かれていたのです。

だからこそ、「再結成」を一番喜んでいるのはエリックのような気がします。
エリックは、連日Twitterで「再結成」に関する情報をつぶやき、
「5人のパイソンズ」の会議風景を写メってアップしているほどですからね。
ジョンとエリックは隣同士に座っているし、一応仲直りしたみたい。




では、1983年の『モンティ・パイソン 人生狂騒曲』以来、
パイソンズはこれまでまったく共演してこなかったかのかというと、
全然そういうわけではありません。

ジョン・クリーズ主演のコメディ映画『ワンダとダイヤと優しい奴ら』や
テリー・ギリアム監督のSF映画『未来世紀ブラジル』には
(関根勤さんも崇拝する)マイケル・ペイリンが助演していますし、
テリー・ジョーンズ&マイケル・ペイリンのコンビは
傑作TVコメディシリーズ『リッピング・ヤーン』を制作していますし、
諸々挙げ始めるとキリがないほど「個別の共演作」は存在します。

また、「ジョンVSエリック」の対立を際立たせた(?)
ミュージカル『スパマロット』のブロードウェイ公演初演(2005年)では、
若干ぎこちないながらも“生き残り”5名が勢揃いしています。
(まだこの頃は、ジョンとエリックは仲違いしていなかったのです……。)

2008年に行われたチャールズ皇太子の還暦記念イベントでは
古典的バレエ『白鳥の湖』に乗せてスケッチ(コント)を披露していますし、
2009年には4人で舞台『ノット・ザ・メシア』を公演していますし、
何を隠そう、今年(2013年)10月には
『人生狂騒曲』Blu-ray 特典映像用に5人の鼎談が収録されました。



今度の「パイソンズ再結成」とは、彼らの再集結のことではなく、
あくまでも「モンティ・パイソンのスケッチ復活」を意味するのです。
(――もっとも、パイソンズが活動を休止した1980年代以降、
 英国のみならず世界中で「パイソン的笑い」は溢れに溢れましたが、
 パイソンズ自身が「パイソン的笑い」を復活させるのはこれが初めて。)



気になるのは、来年7月に行われる復活公演の内容ですね。
現地時間21日に開かれた記者会見では、ジョン・クリーズが
「観客は名作コントの復刻上演を望んでいるのだろうが、
 我々はありきたりなことをしたくはないんだ」と語っており、
パイソンズ自身による新作スケッチの制作・上演が示唆されました。

パイソンフリークの方の中には
「全盛期ほどの毒があって面白いスケッチは観られないだろうが
 それなりに楽しいものが観られそう」とお思いの方もいるでしょうが、
そんな「控えめな期待感」は良い意味で裏切られることになるでしょう。
上述のチャールズ皇太子還暦記念公演からも伺えるように、
現代においても斬新な「笑い」が表現されることは間違いありません。



約30年の時を超えての「モンティ・パイソン復活」。
故グレアム・チャップマンを除く“生き残り”5名が勢揃いし、
一つのステージのために共同作業を再始動することとなりました。
TVスペシャルでも映画でもなく舞台で「復活」するというところが、
UKコメディの本流の流れを汲んでいてこれまた嬉しいじゃありませんか。

なお、エリックは天国のグレアムにも出演依頼しているそうなので、
もしかしたら6人での共演が実現するかもしれません(笑)。
――脚本会議でまたタイプライターが飛ばないことを祈ります。

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モンティ・パイソン復活へ! (2013年11月21日撮影)
Photo by Ian Gavan/Getty Images.
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