2013年09月30日

『禁酒番屋』をネタおろし! 古典の“新たな面白さ”示す「昇々落語」


今日は、なかの芸能小劇場で開かれた
『春風亭昇々ひとり会 番外編(古典の会)』へ行ってきました。

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 <本日の番組>

落語:春風亭昇々 『つる』
落語:春風亭昇々 『化け物使い』

 〜お仲入り〜

落語:春風亭昇々 『強情灸』
落語:春風亭昇々 『禁酒番屋』



★昇々 『つる』
白+袴で登場、まずは出囃子CD(音飛びまくり)に触れる。
『はなまるマーケット』(TBS)のカメラが入っていること、
沖縄へ旅行に行ったことなどを話してから、
大学落研時代にまでルーツを遡っての『つる』。
ユニークな声で響く「つるーッ」が可笑しかった。

★昇々 『化け物使い』
一年前に覚えたものの、かける機会がなかった噺とのこと。
奉公人退職→口入屋の件から丁寧に描写していく。
小言の道に生きる“旦那”がとにかく活き活きとしていて、
“化け物”に対しての畳み掛けるような要求ぶりが面白い。

★昇々 『強情灸』
本日の受付係=翔丸さんとのエピソードを語ってから、
これまた“お蔵入り”されてきた古典落語『強情灸』へ。
マンガ雑誌を読み開いていくような分かりやすい噺の運び。
キャラクターが誇張されているので、熱がる場面で素直に笑える。
「強情な江戸っ子」マクラをカットしたのもよかった。

★昇々 『禁酒番屋』
もはや乙女としか思えない文治師匠との近況報告を経て、
その文治師匠から稽古を付けてもらった『禁酒番屋』。
水カステラ→油→小便と、江戸商人の個性がエスカレートする。
だんだんと酔っぱらう“番人”の描写もきっちりと。
古典に忠実ながらも、演出により昇々流の味付けに。
初演であることと関係なく、完成度の高い『禁酒番屋』だった。



――というわけで、久しぶりの『昇々ひとり会』で、
昇々さんの古典落語を4席立て続けに聴くことができました。
最後にネタおろしの『禁酒番屋』も聴けて満足。

もちろん、昇々さんは展開が独特な新作落語も面白いですが、
古典落語を「自分のものにする」演出力にも長けています。
余計なクスグリを入れずして、演出によって、
それぞれの古典落語を「昇々落語」にリニューアルしてしまう。
どんな古典落語も、明るくて分かりやすいものになるのです。

DVDをリリースしたり、メディアに出演したりと、
ますます活躍の幅を広げている(ように見受けられる)昇々さん。
何かのきっかけで昇々さんを知った“落語を聴いたことない人”が、
“初めて聴く落語”として「昇々落語」に触れたなら、
きっと、「あ、落語って面白いものなんだ!」と感じるはず。

明るくて分かりやすい「昇々落語(古典編)」は、
初めて落語に触れる方にはもちろんのこと、
名人上手の古典落語に慣れ親しんだ多くの落語ファンにも、
古典落語の“新たな面白さ”を気付かせてくれるでしょう。
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2013年09月25日

初秋の円楽独演会 “旦那”と“ご隠居”がつながった夜


今日は、文京シビックホール 小ホールで開かれた
『六代目 三遊亭円楽独演会』へ行ってきました。
今回のゲストは、桂歌丸師匠。

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 <本日の番組>

オープニングトーク:三遊亭円楽 桂歌丸
開口一番:三遊亭楽大 『強情灸』
落語:三遊亭円楽 『寝床』

 〜お仲入り〜

落語:桂歌丸 『後生鰻』
落語:三遊亭円楽 『茶の湯』



★円楽×歌丸 オープニングトーク
最近、医師から入院宣告まで出されたという歌丸師匠。
しかし、それを無視して翌日から仕事に励む。
円楽師匠からは「休んだら衰えていく」というオコトバ。
このお二人のトークはもはや“様式美”の域ですね。

★楽大 『強情灸』
前座さんが椅子を片付けると、そのまま楽大さんが登場。
近々始まるという弟弟子との“同棲”生活に触れてから、
「江戸っ子の朝湯」マクラを経ての『強情灸』。
アクションはもとより、会話のやり取りがユニークです。

★円楽 『寝床』
落語が“マイブーム”になった経緯を、少年時代から。
昭和のさりげないエピソードが思い入れたっぷりに語られる。
円楽師匠の『寝床』は、“旦那”が可愛らしい!
普段は優しくてチャーミングな旦那なのだろうと思わされます。
「がんもどきの製造法」「アルカイダに入っちゃった」など、
みっちりフルコースで楽しませてくれる『寝床』でした。

★歌丸 『後生鰻』
仲入り後は、本日のゲスト=歌丸師匠が登場。
「客の陰陽」「宗旨の陰陽」をマクラで語ってから、
ほのぼのとした世界の中でブラックユーモアが光る『後生鰻』へ。
会話でも所作でも“歌丸調”が発揮されていました。

★円楽 『茶の湯』
『寝床』同様、こちらの“ご隠居”も可愛らしい。
意地や性格の悪くない“ご隠居”像には親近感が持てます。
“ご隠居”と“貞吉”の会話も三軒長屋の件も実に可笑しいです。
そして、舞台が『寝床』の長屋と同じ長屋というサプライズ付き!
長屋の方々は義太夫にも茶の湯にも付き合わされて可哀想(笑)。



――というわけで、
本日は歌丸師匠をゲストに迎えた『円楽独演会』で、
“旦那の趣味道楽”をテーマにした2席を楽しませていただきました。

本来、『寝床』と『茶の湯』はまったく違う噺なのに、
前半の『寝床』が後半の『茶の湯』につながったのにはビックリ。
心根がまっすぐな人が趣味を持ちそれにハマると、
主観が強くなりすぎて、周囲をトラブルに巻き込んでしまう――。
その様子をあくまでも滑稽噺として面白おかしく描き、
さらには2つの噺をリンクさせる円楽師匠は、やはり“達人”ですね。

円楽師匠の落語を聴くと、噺に対する「新しい視点」、
ひいては落語に対する「新しい視点」の存在に気付かされます。
「古典」と「現代」は決して対立するものではないんだよなあ……。
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2013年09月24日

繰り上がる時系列… お彼岸ならでは、談笑版『源平盛衰記』


今日は、博品館劇場で開かれた
『立川談笑 月例独演会スペシャル 其の141回
 銀座夜話 2Days 〜秋〜』へ行ってきました。

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 <本日の演目>

落語:立川談笑 『看板のピン』
落語:立川談笑 『子別れ 昭和編』

 〜お仲入り〜

落語:立川談笑 『源平盛衰記』



★談笑 『看板のピン』
一旦客席が暗転してから、談笑師匠登場とともにやや明転。
『半沢直樹』街頭インタビュー“出演”談をマクラに、
“隣家のご隠居”が親分役の『看板のピン』。
“ご隠居”の耄碌ジジイっぷりが憎らしいほど際立っている。
終盤には談笑師匠らしいスリリングなやり取りも。

★談笑 『子別れ 昭和編』
「ガマのような心境」と客席の静けさを自虐しながら、
個人的にも大好きな一席『子別れ』昭和40年代Ver.を。
以前何度か聴いたものよりも、より現代性が強調されている。
子ども側ではなくオトナ側に現代性を与えたのはさすが。
従来の『子別れ』のように安易に元夫婦にヨリを戻させず、
着地点を「半年に1回でも会おうよ」に見出したのが素晴らしい。
“母”が「許さない。許せない」と語る場面も納得だった。
そりゃあ、何かあったからこそ夫婦は別れたんだもんなあ。

★談笑 『源平盛衰記』
仲入り後は、「沙羅双樹の花の色……」と『源平盛衰記』。
日本史ミステリーを談笑師匠が徹底的に解き明かしていく。
爆笑系ではなくinteresting系の内容盛り沢山な『平家物語』。
もう一度、二度聴いてみたらさらに深く楽しめそう。
お彼岸ということで、最後はまさかの憲法9条オチ。
「平安時代」(物語)から「21世紀」(現代社会)に向かって
時系列がググーッと繰り上がる演出にはゾクッとした。



――というわけで、
談笑版『源平盛衰記』は想像以上に聴き応えがありました。
ラストでは、「祇園精舎の鐘の声……」と
「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を……」が
ステレオヘッドフォンの左右から同時に聴こえてくるような感覚に。
「落語」というメディアはまだまだ進化できるのですね。

それと、この時期に『子別れ 昭和編』を聴けたことは、
個人的に背中を押してもらえたようで嬉しかった。
自分自身に前向きな「一区切り」を与えられたような気がします。

「過去が現在を縛っている」ということは、
言い換えるならば、「現在は過去を乗り越えられる」ということ。
でも、その「乗り越える」とはどんな行為を意味するのか。
「乗り越える」と「忘れ去る」は、似ているようで全然違うはず。
――談笑師匠によって脳内をあっちこちから刺激された夜でした。


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