2013年05月30日

さん喬&権太楼&桃太郎― 個性が際立つ「三色三様」


今日は、日本橋劇場で開かれた
『三色三様 長講 三人の会
 さん喬・権太楼・桃太郎』へ行ってきました。

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 <本日の番組>

開口一番:(前座) 柳家おじさん 『うん廻し』
落語:昔昔亭桃太郎 『お見立て』
落語:柳家さん喬 『唐茄子屋政談』

 〜お仲入り〜

落語:柳家権太楼 『幾代餅』



★おじさん 『うん廻し』
おじさんさんの高座は久しぶりに拝見しましたが、
「志ん朝師匠っぽい語り口!」というのが感想。
スピード感あふれる語りの中で、
「ん」の付く言葉が連発されていきました。
『うん廻し』(『ん廻し』)っていう噺、
冒頭はだいぶ丁寧な仕組みになっていたのですね。

★桃太郎 『お見立て』
この日の私は、桃太郎師匠が見たくてたまらなかった。
心身の凝りをほぐすには“桃太郎落語”が一番です(本当か?)。
“大言壮語系落語家”にまつわるマクラの後、
関連して10代目(先代)文治師匠のエピソードを語る。
最近、私は自宅で先代文治師匠の音源を聴くことが多いので、
文治師匠の名前が出た時には少しビックリしました。
何気ない逸話でも、桃太郎師匠が語ると可笑しいなあ。
そして、バンコクでもやったという『お見立て』。
もはや“古典落語『お見立て』”とは違う領域にある、
桃太郎師匠にしかできない&許されない『お見立て』。
みんなが一生懸命サッカーをしているグラウンドで
ひとりゴルフをやっているような、爽快なまでのナンセンスさ。
あたしゃこの師匠の落語が大好きだよ……。

★さん喬 『唐茄子屋政談』
「桃太郎さんと私は似ていない」
「桃太郎さんの後はやりにくい」
「どうして桃太郎さんの『お見立て』は
 “チップ”という単語が出ても違和感がないのか。
 江戸時代の噺とは思えない」という感想(?)を述べてから、
シリアスに聴かせる『唐茄子屋政談』へ。
“親類のおじさん”のアメとムチの使い様が凄まじすぎる!
“おばさん”の対応もキツかったわあ〜。
終始、息を呑むような迫真の語りが続きます。
『長講 三人の会』らしく、きっちりとお白洲の場面まで。
「大ネタを聴いたなあ」という充実感に包まれました。

★権太楼 『幾代餅』
「この会は桃太郎さんだけ(楽屋で)ネタ出しになっている。
 さん喬さんと私はそれぞれ
 『こんなネタやろう』と思って会場に入るが、
 ネタがくっついてしまうことがある」ということで、
権太楼師匠、今夜のネタは『幾代餅』。
高らかに「今夜は『吉原特集』です」と宣言されました(笑)。
時間の関係もあって、クドさはなく軽快な、
そして随所で“権太楼節”が光る『幾代餅』です。



――桃太郎師匠にしかできない『お見立て』、
さん喬師匠にしかできない『唐茄子屋政談』、
そして、権太楼師匠にしかできない『幾代餅』。
まさに「三色三様」な、
それぞれの個性が際立つ高座を楽しませていただきました。

演者によって噺は変わるし、
噺によって演者の“持ち味”は開花する。
落語というのは「演者を楽しむ芸能」だなあ、と
つくづく思わされます。

中でも、桃太郎師匠の落語には
何度も聴く同じネタの中にも新鮮な驚きがあって、
この師匠にしか出せない痛烈な世界観というものがある。
一度、桃太郎師匠の『唐茄子屋政談』を聴いてみたいです(笑)。


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2013年05月15日

“軽やかな話芸”が生む“爽やかな充実感” 『一朝・左談次 二人会』


今日は、北沢タウンホールで開かれた
『江戸の粋 三十年ぶりの同期会
 春風亭一朝 立川左談次 二人会』へ行ってきました。

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 <本日の番組>

ご挨拶:春風亭一朝 立川左談次
落語:春風亭一朝 『たがや』
落語:立川左談次 『幇間腹』

 〜お仲入り〜

落語:立川左談次 『町内の若い衆』
落語:春風亭一朝 『三枚起請』



★一朝・左談次 ご挨拶
まずは両師匠がマイクを持って登場し、
ご挨拶代わりのオープニングトーク。
前座修行の話、一緒に勉強会をやっていた頃の話、
一朝師匠が談志師匠にハマっていた話など。
両師匠が、生まれた年ばかりでなく誕生日がほぼ同じ、
しかも入門時期もほぼ同じだとは知りませんでした。
お二人はまるっきりの“同期”なんですね。
「ご挨拶」の中で、一朝師匠はダジャレをぶっ込み、
左談次師匠は『江戸の粋』というこの会のタイトルに
ツッコミを入れておりました(笑)。

★一朝 『たがや』
筋の通った“江戸っ子思考”を、
威勢のいい語りとともに味わわせてくれる一席。
別人を盾にして侍に野次を飛ばす町人が面白すぎ!
間抜けな武士たちが失態を犯す度に、
“たがや”にガッツポーズを送りたくなります。
一朝師匠の落語は爽涼感に満ちているわあ〜。

★左談次 『幇間腹』
「『付き馬』をやるつもりだったが、
 楽屋でさらってみたら抜けていて……」と、
“逆らわない幇間”のマクラからの『幇間腹』。
“若旦那”目線ではなく“幇間”目線で始まり、
“幇間”目線で終わる『幇間腹』です。
そこまで派手なキャラクターではない“幇間”だったので、
“幇間”に親しみを持てるような仕組みになっていました。
ちなみに、“猫”は死亡。

★左談次 『町内の若い衆』
仲入りを挟んで、「名人のお辞儀」色々。
談志師匠への言及があまりにもストレートすぎます(笑)。
ネタは、十八番の『町内の若い衆』。
随所に左談次師匠らしいクスグリが仕掛けられていて、
何度聴いても素晴らしく面白い『町内の若い衆』です。

★一朝 『三枚起請』
「先程、言うのを忘れてなんか調子が狂った」と、
ここで「イッチョウケンメイ」宣言。
一朝師匠の『三枚起請』――、
騙された男たちの“怒り”と“割り切り”がビシッと伝わってきて、
聴いていて実に興奮しました。
“棟梁”が“喜瀬川”に対し
「これ、起請だったのか。俺はてっきり広告かと思った」と
さりげなく皮肉をぶつける場面なんか最高、文句なし。
一朝師匠の落語を聴いていると、肩は凝らずに惚れ惚れし、
胸の中が楽しい気持ちでいっぱいになります。



――というわけで、今夜は、
約30年ぶりとなる「二人会」で、
一朝・左談次両師匠の“軽やかな話芸”を堪能いたしました。

これは余計なことではあるけれど、今夜は、
一朝師匠なら『三枚起請』、
左談次師匠なら『町内の若い衆』がそれぞれ、
個人的にはヒットだったかな。
『三枚起請』のマクラで、一朝師匠が
「左談次の落語は面白いですねえ」と話していたのも印象的。

落語の楽しみ方は聴く者によって様々だと思いますが、
一席聴いた後、
「軽やかな充実感」を抱く時は本当に嬉しいものです。
「落語を聴く人間でよかったなあ」とさえ感じる。
一朝師匠と左談次師匠――、所属する協会は違っても、
「軽やかな充実感」を観客に与えてくれる貴重な存在ですね。

「『江戸の粋』だなんて大袈裟な……」と
苦笑いしながら聴かせる芸は、まさしく「江戸の粋」。
人肌にやさしい“軽やかな話芸”は、
私の気持ちを落ち着かせ、心まで軽くしてくれました。


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2013年05月11日

孤高のエロDr. ケーシー高峰と6人の漫才師たち(+ニセ看護婦)


今日は、横浜にぎわい座 芸能ホール で開かれた
『ドクターケーシーの公開診療 in にぎわい座 パート9
 〜漫才界のニューパワー VS ドクターケーシー〜』へ行ってきました。

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 <本日の番組>

漫才:ロケット団
漫才:母心
漫才:U字工事

 〜お仲入り〜

医事漫談:ケーシー高峰
公開診療:ケーシー高峰+山平嘉子



★ロケット団 漫才
山平嘉子さんの派手な前説を経て、ロケット団さん。
四字熟語ネタに始まり、“花屋さんCM”のコント漫才です。
寄席定席よりも長めの尺で、
ロケット団さんの新たな一面を楽しみました。

★母心 漫才
福島の大スターだという母心さん。
福島では本当に大スターなんですねえ(知らなかった……)。
おかんさんの着付けと日本髪がキマってます。
想像以上に勢いのある高座でした。

★U字工事 漫才
盤石の“栃木ネタ”で客席を大いに沸かせます。
ボケ=益子さんの驚きの私生活が明らかに!
(……ってほどのもんでもないけど。)
“栃木の名所は実はショボい”ネタが異様に可笑しかった。

★ケーシー高峰 医事漫談
仲入りを挟んで、緞帳が上がるとそこには黒板が。
すでに書かれてある「処女膜」などの文字にいきなり笑わされます。
おもむろにケーシー師匠が舞台上手から登場し、
もはや記憶にすら残らないほどの壮絶な下ネタの数々を披露。
“肩こりを治すには襟首のあたりをほぐすとよい”とか、
実用的&医学的っぽいことをちょいちょい挟んでくるから侮れない……
(誰も侮ってなどいないが)。

★ケーシー高峰+山平嘉子 公開診療
ケーシー師匠の医事漫談開始から20分ほど経って、
山平嘉子さんが再び登場。
開演前に客席から集めていた“医療アンケート”用紙を抽出し、
お客さんをステージに上げて「公開診療」の始まりです。
医療相談というより人生相談ばかりだったかな……。
でも、“腰痛を治したい”という相談をしている人もいて、
舞台上の簡易ベッドの上でなんかやらされてました(笑)。
診療を終えた人にはケーシー師匠から直筆サインのプレゼント。
サインに添えられた言葉としては「ゆったり人生」が印象深い。
最後には、悩み相談者の一員として「母心」のおかんさんが登場し、
ケーシー師匠は「奥さん以外に女持とうなんて思っちゃダメ。
牧(伸二)さんなんか週刊誌に書かれちゃって、可哀想だ。
2号さんは絶対持っちゃダメだよ。……3号さんならいいけど」
という、実に含蓄ある(?)アドバイスを送っておられました。



――というわけで、今夜は、
日本スタンダップコメディ界のリビングレジェンドである(?)
ケーシー高峰師匠のプロデュース公演で大いに楽しみました。

舞台上で度々、ケーシー師匠が
本日の若手出演者を応援する発言をなさっていたのが印象的です。
特に「『母心』はこれから東京でもブレイクする」と太鼓判一押し。
この公演で、知性とバカバカしさを兼ね揃えた超大御所漫談家と
人気も実力も兼ね揃えた若手漫才師たちが共演したことは、
ケーシー師匠にとってもU字工事さんたちにとっても刺激的だったはず。

今夜は、ケーシー師匠の色んな“温かさ”を感じた夜となりました
(“温かさ”以前に“エロさ”が際立っていたけど……)。
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