2012年12月05日

“失敗”を重ねることで、落語の登場人物は面白くなっていく


日暮里サニーホール コンサートサロンでの
「立川流 日暮里寄席」に行ってきました。

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 <本日の番組>

開口一番:(前座) 立川春樹 『道灌』
落語:立川らく里 『親子酒』
落語:立川談奈 『転宅』
落語:立川キウイ 『悲しみにてやんでい キウイVer.』
落語:立川談幸 『蛙茶番』

 〜仲入り〜

落語:立川談修 『かつぎや』
落語:立川談之助
落語:(主任) 立川雲水 『三十石』



★らく里 『親子酒』
らく里さんの古典落語、面白いです。
抑揚のあるしゃべり方が、『親子酒』の世界にハマっていました。

★談奈 『転宅』
マクラで会場の暖房を調整してから(笑)、『転宅』へ。
泥棒 VS. 性悪。
平成ニッポンでは、世論はどちらの味方に付くのだろう。

★キウイ 『悲しみにてやんでい キウイVer.』
昇太師匠の名作をアレンジ。
以前聴いたものとほぼ同じでしたが、
やはりキウイ師匠にはこういった方向の落語が合っているのかも。

★談幸 『蛙茶番』
中村勘三郎さんが亡くなったということで、
歌舞伎にまつわる古典落語『蛙茶番』へ。
たしかな話芸に、大いに笑わせられました。

★談修 『かつぎや』
中入り後は、来春に真打ち昇進予定の談修さんで『かつぎや』。
初春の風景を描いたおめでたい噺を、一足早く。
『かつぎや』自体、頻繁に聴く噺ではないけれど、
中でも談修バージョンは非常に面白かったです。

★談之助
十八番の『立川流騒動記』的漫談。
もちろん、面白くないはずがない。

★雲水 『三十石』
マック赤坂&ドクター・中松をイジる、
都知事選の政見放送ネタに大爆笑!
どうやってマクラから噺に入ったのかは忘れてしまいましたが、
『三十石』という穏やかな噺で、聴いている私も楽しい気持ちに。
船頭唄ももちろん素晴らしいけれど、サゲ部分の
「舟の中、乗り合いはみんな夢の中。
 『三十石は夢の通い路』でございます」(大意)という語りに、
なんとも言えぬ“読後感”を抱いてしまいました。
雲水師匠にはいつも、上方落語の面白さを教えてもらってます。



――本日の寄席は滑稽噺オンリーでした。
滑稽噺において、主人公たちはみんな“失敗”をしている。
“失敗”を重ねることで、どんどん噺を面白くしてくれています。
落語の世界では、“失敗”を喜劇的に描くと滑稽噺に、
悲劇的に描くと人情噺になるのでしょう。

最近復刊された、1985年初版発行、談志家元49歳の時の著書
あなたも落語家になれる 現代落語論其二』(三一書房)において、
談志師匠は「落語の登場人物は小さなことにこだわって生きている」
「大義名分ではなく、“小義名分”の世界で生きている」
といったようなことをお書きになっています。
お手製の千社札には「小さいことにクヨクヨすること」なんて文句も。

私たちは、ついつい、他人の悩みや苦しみを耳にした時、
「そんな悩み、××に比べれば大したことないよ」と
他人の悩みや苦しみを相対化して考えてしまいがちだけど
(他人の悩みを「小さいことにクヨクヨしてる」と捉えがちだけど)、
小さいことにクヨクヨするものこそ人間であるという
“落語の発想”ができれば、
そんな残酷な考え方、割り切り方はしないで済むのかもしれません。

人間は失敗ばかりするし、ドジだし、マヌケだし、
みすぼらしいし、恥ずかしいけれど、
それでも人間は生きているし、生きていてよいのだし、
そもそもよいとか悪いとかいうことはないのだし、
“高みの見物”で失敗談や失敗者を割り切る前に、
もうちょっと寄り添ったり
想像したりすることがあってもよいのではないかなあ、
と思う今日この頃。
だって、結局はみんな人間であるのだし、ね。
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