2012年06月29日

バカバカしいったらありゃしない! 楽しい「アート」=『絵描き小僧展』


先日、東京オペラシティ アートギャラリーでの
『BEAT TAKESHI KITANO 絵描き小僧展』に行ってきました。

beat_takeshi_kitano.jpg

ご存知、ビートたけしこと北野武
(“北野武ことビートたけし”?)さんが描いた絵画、
制作したオモチャのようなオブジェ、
なかなかに大がかりな可動式セットなどが展示されています。

この個展は、2010年にパリで開催された
『Beat Takeshi Kitano, Gosse de peintre 絵描き小僧展』の
いわば“凱旋公演”です。



『絵描き小僧展』は、とにかく「楽しい!」展覧会。
コンセプト自体は、個展開催にあたって
“BEAT TAKESHI KITANO”さんが発表したメッセージに集約されています。

 「この個展を通して、アートって言葉に、もっと別の意味をもたらせたらいいなと思う。アートって特別なものじゃなく、型にはまらず、気取らず、みんながすっと入っていきやすい、気軽なものであるべきだと思う。日本開催が実現できてうれしいし、ぜひ多くの方に楽しんでもらいたい。」
―BEAT TAKESHI KITANO―

『絵描き小僧展』に展示されているものの中には
しかめっ面で眺めなくちゃいけないようなものは何一つなく、
中には声を上げて笑ってしまうような、
面白いものばかりが展示されています。

個人的に一番笑ったのは
『日本初の絞首刑で死ななかった男』という
“「こんな○○はイヤだ」具現化版”と、
『そよ風をあなたに』という“使えねぇ〜風力発電・試作品”。
……本当に、バカバカしいったらありゃしない(笑)。
これらの展示物をまじめに“鑑賞”しているお客さん込みで、
笑ってしまいました(その光景があまりにもシュールだったので)。

逆に(?)一番カッコいいと思ったのは
『BEAT TAKESHI KITANOがパリで着色した
  ティラノザウルスとその映像』。
未だ“肌の色”が判明していない恐竜に色を付けてみた、というものです
(→画像はこちら)。
「楽しいアート」だなあ、と感じました。



ギャラリーの中では、
『タケちゃんの思わず笑ってしまいました』でのコント映像や
『FNS27時間テレビ』での中継コント映像(“火薬田ドン”など)も上映。
このくだらなさ(注:もちろん褒め言葉です)を
「アート」として表現できるのは、
日本じゃ“BEAT TAKESHI KITANO”さん以外、おりません!
「そっか、これ“が”アートなんだよな」と目からウロコの、
素晴らしい体験でした。

『BEAT TAKESHI KITANO 絵描き小僧展』は、9月2日(日)まで開催。
開館時間、チケット情報などは公式ページからどうぞ。



<追記>

『絵描き小僧展』のチケットで
オペラシティ アートギャラリー収蔵品展も見ることができました。
これは、たけしさんとはまったく関係のない方による「現代アート」的なもの。
『絵描き小僧展』を見た後に行ってみたのですが……、
……たけしさんの「アート」のほうが、はるかに面白かったです(笑)。
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2012年06月22日

温かくて、優しくて、強くて、弱い、文左衛門の『子別れ』


今日は、大田区民プラザ小ホールでの
『下丸子らくご倶楽部』へ行ってきました。

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立川志らく師匠が長年続けている、我が地元での毎月の落語会。
私は橘家文左衛門師匠がこの会のパートナーになってから、
何回か通わせていただいております。
志らく&文左衛門両師匠を、地元で毎月観られるというのはありがたい。

しかも、今月のゲストは桃月庵白酒師匠!
これは無理してでも聴きに行かなきゃなりません!



 <本日の番組>

(堂々若手バトル!)
落語:立川らく兵 『豊竹屋』
落語:立川志らら 『子ほめ』

トーク:立川志らく×橘家文左衛門
落語:立川志らく 『あくび指南』

 〜お仲入り〜

ゲスト(落語):桃月庵白酒 『だくだく』
落語:橘家文左衛門 『子別れ』



★らく兵 『豊竹屋』
『下丸子らくご倶楽部』開演前の恒例は「若手バトル」。
今年4月、二ツ目に昇進したらく兵さんによる『豊竹屋』は、
噺の後半からちょっと過激でセンスを感じるギャグも入ってきて、
なかなかトボケた感もあり、面白かったです。

★志らら 『子ほめ』
「二ツ目になったからって、らく兵は難しいネタやりすぎですよ!」
とマクラで話しながら、志ららさんはスピード感あふれる『子ほめ』へ。
“怒涛のギャグ祭り”といった感じで、爆笑をさらっていました。

★トーク 志らく×文左衛門
メインは、
今月上演された志らく師匠のお芝居『談志のおもちゃ箱』について。
この舞台には、文左衛門師匠も出演されていました。
志らく師匠が文左衛門師匠に課したアドリブ
(“上演中に会話している女性客2人に対して、
 それとなく「黙れ!」と怒鳴れ”)
が妙に変な形でキマってしまったエピソードなど。
出演者=蛭子能収さんの“天然なんだか狙いなんだか”話もありました。
それから、志らく師匠の“弟子見習い”のまま
現場から突然消え、音信不通になってしまった謎の青年の話も。
一通りの話を聞いて、文左衛門師匠「そりゃ逃げるわ」。
志らく師匠と文左衛門師匠のツーショット、
噛み合うようで噛み合わないような、
でも結局噛み合っているというような、
その感じが実にしっくりキています。
トークの終盤では、志らく師匠が
「今日は文左衛門がトリで“人情噺の名作”を演ります」と発言。
ハードルを上げられて困った表情の文左衛門師匠でした。

★志らく 『あくび指南』
元AKBアイドルの“移籍”騒動、
原監督の“1億円”騒動などについてマクラで触れた後、
『あくび指南』へ。
この噺は、演者の上手下手関係なく、
聴いていると必ずあくびがしたくなってしまう噺(笑)。
ところが、志らく師匠の『あくび指南』では、
観客にあくびをさせる暇なく
スピーディーにクスグリが放り込まれていく。
謎の奇声「アウッ!」、歌舞伎のあくび「音羽屋ァウ…」に笑いました。

★白酒 『だくだく』
仲入り後は、本日のゲストにして
『下丸子らくご倶楽部』初登場の白酒師匠が登場。
「初めて落語を聴く」という人にオススメして
間違いのない落語家さんです。
疲れた時には白酒師匠の落語を聴けば、必ず爆笑できます。
3Dテレビについてのマクラの後、
“絵が立体化する”3D落語と言えなくもない(?)『だくだく』へ。
これがまた、本日一番ウケていたかというほどの大爆笑モノ。
さらっと客席を爆笑の渦に叩き込んでしまうのですから、
やっぱりのやっぱり、白酒師匠はものすごい落語家さんです。
なお、マクラと噺で合わせて計3度、
「小三治」という単語が出てきました(笑)。

★文左衛門 『子別れ』 (※『子別れ(下)』)
トークの終盤で「今夜、文左衛門は“人情噺の名作”を演る」
と志らく師匠にバラされていた文左衛門師匠。
緊張で困ったような様子を漂わせながら登場し、
前の出番の白酒師匠『だくだく』のネタに絡ませながら
開口一番「……たっぷりやった“つもり”でいい?」。
文左衛門師匠の『子別れ』は
随所に文左衛門師匠らしいクスグリを挟みながら、
“生きることに不器用な人たち”の情を存分に描いている落語です。
人間は誰しも、心の中に強さと弱さを併せ持っている。
それは、この噺に出てくる
父(“親方”)も、母も、息子(“亀”)もそう。
人間には、虚勢を張ってまで貫きたいものと、
そんなもの投げ捨ててまですがり付きたいものがある。
人を助けるものが強さとは限らないし、
人をダメにさせるものが弱さだというわけでもない。
だから、無理して理屈で分かったものなんて、
実は大したことじゃないんだ。
あやふやに、うやむやに、
いい加減に感じ取ったもの、感じ取れたものこそが、
その人の一番大事なものなのかもしれません。
ちなみに、父からもらった50銭で“亀”が購入を検討したものは、
今夜の文左衛門師匠の場合、「鉛筆(学校の授業用に使うもの)」でした。
文左衛門師匠、“親方”の口を借りて高座で一言、「……鉛筆と来たか」。



――志らく師匠の『あくび指南』、
さらに白酒師匠の『だくだく』で大いに笑った夜でしたが、
本日のトリ=文左衛門師匠の『子別れ』には
何度も何度も目頭を熱くさせられました。

文左衛門師匠の『子別れ』は
「橘家文左衛門」という
“乱暴風”なキャラクターをベースにしながらも、
言葉では説明できないような感情の機微をその上に乗っけて表現する、
実に温かくて、優しくて、強くて、弱い落語。
私は立川談笑師匠の
『子別れ -昭和篇-』が大好きでたまらない人間なのですが、
古典の時代設定に忠実な文左衛門師匠の『子別れ』にも感動させられました。
文左衛門師匠の“奥深さ”と“根っからの優しさ”を再認識した夜です。

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2012年06月16日

これを観ずして何を観る!? “極上”の娯楽映画『ザ・マペッツ』


先日、お台場・シネマメディアージュにて
ディズニー配給の映画『ザ・マペッツ』を見てきました。

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アメリカを代表するTV番組『ザ・マペット・ショー』。
『ザ・マペット・ショー』は30年以上前に放送終了した
国民的マペットショー(俗っぽく言えば「ぬいぐるみ人形劇」)で、
その人気は衰えることを知らず、1990年代になると
『マペット放送局』というスピンオフシリーズも製作されました。

『ザ・マペット・ショー』も『マペット放送局』も、
放送回ごとにゲストスターが出演します。
これは『サタデー・ナイト・ライブ』などと同じ構成ですね。
とりわけ、『マペット』シリーズには
コメディ界の往年の名スターたちがゲスト出演しました。
たとえばボブ・ホープ、ジョナサン・ウィンタース、
キャロル・バーネット、スティーヴ・マーティン、
マデリーン・カーン、ギルダ・ラドナーなど、枚挙に暇がない!



映画『ザ・マペッツ』の物語は、
かつては『マペット・ショー』の人気者だったマペットたちが
今はもう完全に離れ離れになっていて、
それぞれの人生(“マペット生”?)を
再出発しているという設定から始まります。

『ザ・マペット・ショー』が放送されていたスタジオに、
この番組の大ファンであるウォルター(“人間っぽいマペット”)と
その親友・ゲイリー(“マペットっぽい人間”)、
そしてゲイリーの婚約者・メアリー(小学校教師)が訪れるのですが、
スタジオはもう廃墟と化していて、誰もいない……。
ショックを受けるウォルターですが、
そこで「スタジオ売却」の陰謀話を耳にしてしまいます。

そこから、「スタジオを取り戻すためには、
 1,000万ドルを集めるしかない!
 1,000万ドルを集めるためには、マペットたちが再集結して
 『ザ・マペット・ショー』をもう一度上演するしかない!」
――というところに、ストーリーが展開していくのです。



さて、感想ですが――。
一言で言うなら、『ザ・マペッツ』は
「こんな面白い映画は他にはない」と叫びたくなるような娯楽映画!

私がもともと『ザ・マペット・ショー』&『マペット放送局』の
大ファンだったということを差し引いても、
コメディ映画として、ミュージカル映画として、
あらゆる意味でのエンターテインメント映画として、
とにかくこれほどにまで“極上”な作品はありません!
私の個人的に大好きな要素がたっぷりと詰まった映画なのです。

往年のマペットたちが再集結し
『ザ・マペット・ショー』のテーマ曲が再び流れるシーンでは、
不覚にもジーンときてしまいました。
随所に挟まる“楽屋オチ”なネタも楽しいです。
(メル・ブルックスやZAZ風味のギャグが盛りだくさん。)



豪華なキャスト陣も、この映画の魅力の一つです。
主人公のゲイリー役は
コメディ俳優のジェイソン・シーゲル(コメディ俳優)、
その婚約者・メアリー役には
『魔法にかけられて』のエイミー・アダムス。
ディズニー的なキャスティングが作品の世界にハマっています。

その他にも、ジャック・ブラック、ラシダ・ジョーンズ、
アラン・アーキンなど豪華な顔ぶれが贅沢に使われていますし、
“アメリカ国内で人気”なスターたちが
多数出演しているのもこの映画の特徴です。
ハリウッド映画界の生き字引:ミッキー・ルーニー、
現在はトーク番組で司会を務めるウーピー・ゴールドバーグ、
『ハングオーバー!』でおなじみのザック・ガリフィアナキス、
最近ではトニー賞司会者として定着したニール・パトリック・ハリス、
人気シットコム『ビッグバン★セオリー』主演のジム・パーソンズ、
スタンダップコミック出身の女優:クリステン・シャールらが
『マペッツ』の世界を盛り上げるためにカメオ出演しています。

アメリカのエンタメ事情に多少なりとも通じている人たちなら
「ワオ!」と言いたくなるような方々が勢ぞろいなのです。
(そうそう、毒舌下ネタコメディアンのサラ・シルヴァーマンも出演!)



映画『ザ・マペッツ』は、はっきり言って楽しすぎる映画です。
「これを観ずして何を観る?」と言いたくなるぐらい。
カエルのカーミット、ミス・ピギー、ゴンゾ、フォジー、アニマル。
魅力に満ち溢れた、
あの『ザ・マペット・ショー』のキャラクターたちが再集結し、
団結し、そして無謀としか思えないチャレンジを仕掛ける……。
マペットが出てくるからといって、必ずしも子ども向けではありません。
センスの良い“毒っ気”や、ユーモア精神あふれた“皮肉”もたっぷり。

その場しのぎのギャグも少なく、脚本にも無理がありません。
個人的には、カーミットの
「みんなで頑張り抜いた上での『負け』は、『負け』じゃない」
というセリフや、ゲイリーがウォルターに語る
「自分のやりたいことをやるのが、大人になるっていうことなんだ」
というセリフにグッときました。

披露されるミュージカルナンバーの数々も素晴らしく、
マン・オア・マペット』はアカデミー賞主題歌賞を受賞したほど
(まあ、ノミネートされていたのは2曲だけでしたが!)。
ジェイソン・シーゲルがミュージカルしてるのも驚きでしたが、
渋オヤジのクリス・クーパーがラップを歌う場面には笑わされました。
明るく陽気な『ライフ・イズ・ア・ハッピーソング』も楽しくて最高!
もちろん、オリジナルの『ザ・マペット・ショー』のテーマも――。



――あまり派手にプロモーションされなかったこの映画。
上映開始1か月を待たずして都内での公開は終わってしまい、
6月16日現在、
東京近辺ではシネマイクスピアリで上映されているだけですが
(東京ディズニーリゾートのすぐ隣にある映画館です)、
とにかくたくさんの方々に、ぜひ観ていただきたい映画です。

もう一度書いてしますが、この映画は本当に素晴らしい!
人生において大切なものはなにかを
エンターテインメントという“魔法”で教えてくれます。
しかもそれが「予定調和」をちょいちょい崩しながら進んでいく。
大人も子どもも楽しめて(正確には「大人のほうが楽しめる」けど)、
誰がいつ観てもハッピーな気持ちになれるような、最高の映画です。




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映画パンフレットの表表紙と裏表紙。




<『ザ・マペット・ショー』(1976-1981) オリジナル動画>

★ギルダ・ラドナー × 『Tap Your Troubles Away』


42歳でこの世を去った伝説のコメディエンヌ、ギルダ・ラドナー。
彼女が、なんとジェリー・ハーマン作詞・作曲のミュージカルナンバー
『Tap Your Troubles Away(困ったことはタップで踏み飛ばせ)』を
『ザ・マペット・ショー』の中で歌っています。
ジェリー・ハーマンの楽曲の中でも個人的に大好きな一曲です。



★ドム・デルイーズがゲスト出演したエピソード


日本人にはあまり馴染みがなくても
アメリカ国内では超有名な大御所コメディ俳優、ドム・デルイーズ
(2009年に75歳で亡くなりました)。
彼がゲストスターとして出演した際のエピソードですが、
『ザ・マペット・ショー』のテーマ曲もきっちり聴くことができます。



★OK Goによる『ザ・マペット・ショー』テーマ曲のカヴァー


これはオリジナルの
『ザ・マペット・ショー』からの動画ではありませんが、
人気グループ OK Go(オーケー・ゴー)によるテーマ曲のカヴァーです。
2011年に制作されたもの。
……いくらなんでもカッコよすぎる(笑)。
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